海外FXで法人化すると最大で税率を20%減らせるなど、経費にできる対象も個人より増えます。法人口座のメリットは個人口座よりも大きく節税することができる点です。
ただし、法人化すると個人口座では発生しなかった費用もかかるので、海外FXで法人化するかどうかは慎重に判断しましょう。
海外FXで法人口座を開設するメリット|個人口座より節税しやすい
所得にかかる税率を低く抑えられる
海外FXで法人化すると、海外FXの利益にかかる税率を下げられます。ただし、法人化した方が税金が安くなるのは所得※1が700万円以上の場合です。所得が700万円以下になる方は、法人化しない方が税金が安くなりますので注意しましょう。
所得※1:給与(または事業の利益)+海外FXの利益
項目 | 個人口座(所得税+住民税) | 法人口座(法人税+事業税など) |
税率 | 15~55% | 21.8~33.2% |
所得500万円 | 30% | ~33.2% |
所得700万円 | 33% | ~33.2% |
所得1,000万円 | 43% | ~33.2% |
所得4,000万円以上 | 55% | ~33.2% |
個人口座だと、所得税と住民税で税率は最大で55%もかかります。法人口座ならば、どれだけ稼いでも最大で33.2%までなので20%も支払う税金額が変わってきます。
圧倒的に法人口座が有利かといえば、一概にそうとも言えない要素もあります。法人化するには、税理士費用など、個人事業主には必要なかった経費も増えていきます。
同じ所得でも「海外FXの利益がどのくらいの金額になるのか?」「毎年同じ利益を出せるか?」で節税効果は異なってきます。
経費にできる対象を広げられる
海外FXで法人化すると、経費にできる対象が増えます。
多くの場合、上記のように社用車や家賃の一部、ネット代などを経費にすることができます。ただ、法人化に伴い、税理士費用が年間50万円以上かかるため、利益が少ない方は損する可能性もありますので注意しましょう。
また、法人化に伴って個人口座では必要なかった手続きや作業が増えてます。そのため、FXトレードにかける時間や労力が少なくなることもあります。
そのため、年間数千万円の利益があって経費をなるべく使って節税したい場合は法人口座、年間1000万円くらいなら手間や労力をなるべく減らしたいから個人口座で、と目安を決めておくとよいでしょう。
他の事業と損益通算できる
海外FXで法人化すると、他の事業で損失を出しても、海外FXの利益と相殺(損益通算)して節税することができます。
個人口座の場合、損益通算できるのは仮想通貨やアフィリエイトの雑所得同士だけです。
法人口座なら、収入の種類に関係なく法人の事業であれば損益通算できます。
法人口座は損益通算できる範囲が広く、他の事業で損失が出た場合に節税しやすいのがメリットと言えるでしょう。他にも事業を行なっている場合は法人化も前向きに検討すべきでしょう。
損失繰越ができる
損失繰越とは、その年に出た損失を翌年以降の利益と相殺することです。法人口座では、損失繰越できます。
法人化すると、損失が出た年から最大10年間の損失繰越ができます。つまり、損失が出た場合は翌年から10年間で得た利益と相殺できるので、節税できます。
海外FXは、専業トレーダーでも損失を出すことがあるくらいなので、損失繰越できるのは大きな節税効果があると言えます。
含み損を計上できる
法人口座なら、決算するときに保有しているポジションの含み損も損失として計上することができます。
なお、個人口座の場合、ポジションを決済しないと課税対象になりません。
ただし、注意点としては法人口座は含み益も計上する必要があります。含み益が大きい場合は、むしろ無駄に税金を払う可能性もあるので、決算前は無難に決済した方が良いこともあります。
相続税と財産分与の対策になる
相続税は所得税と同じく累進課税が適用され、税率は最大で55%。つまり、そのまま相続すると、半分は税金でとられてしまうことになります。
法人化していれば、相続相手(子供など)を役員にして、贈与ではなく報酬として与えれば、税率を低くしながら、財産を残せます。
海外FXで法人口座を開設するデメリット|法人化に伴うコストを把握しておこう
海外FXで法人口座を開設することにはデメリットも当然あります。最も大きなデメリットは、法人設立と廃業時に費用がかかることです。何も考えずに勢いで法人化してしまうと、必要なコストを見誤って大きく損失を出す可能性もありますので、しっかり理解した上で、法人口座の開設を検討しましょう。
法人設立のコストが最低でも10万円かかる
法人設立には、10万円~50万円の費用がかかります。法人設立には、法人登記の費用で約25万円、書類作成などを専門家に依頼する場合はさらに費用は10~20万円が上乗せされます。
株式会社ではなく、合同会社を設立する場合は10万円程度で抑えられますので、とにかく費用を抑えたい方は合同会社で検討してもよいでしょう。
海外FXをやるだけならば、合同会社でも全く問題ありませんが、今後事業を展開していくとなると合同会社は上場できないなどデメリットもあるので、どちらで法人化するかは比較しましょう。
法人維持費も必要になってくる
法人を設立した後も、個人と比べると維持費が多くかかります。主に以下の3点は法人を維持する上で必要なコストとなります。
社会保険加入に伴う費用
まず法人化すると、健康保険や厚生年金は必ず加入しなければなりません。従業員を雇う場合は、従業員の社会保険料の半分を会社が負担することになり、金額的にはかなり負担が大きくなります。
赤字でも支払いが必要な法人住民税
法人税の多くは利益に対して課税されるので赤字の場合は支払わなくてよいものがほとんどです。しかし、法人に課される法人住民税の7万円は、赤字であったとしても必ず支払わなければなりません。

ちなみに個人事業主であれば、赤字だった場合は、所得税や住民税の支払いはありません。
税理士・公認会計士などの利用費用
法人化すると個人事業主と比べて会計処理が複雑になります。自分1人で対応することはかなり困難となりますので、ほとんどの場合で税理士や公認会計士に委託することになるため、費用がかかってくるわけです。
廃業時のコストが最低でも7万円かかる
海外FXで法人化した場合、廃業時にもコストがかかっていきます。
法人の廃業手続きは無料ではできません。最低でも7万円の費用がかかります。さらに、税理士に依頼した場合はさらにコストがかかってきます。
法人を設立する場合は、それなりの覚悟が必要です。個人口座で安定して利益をだせるようになって自信がついてから法人化するようにしましょう。
海外FXで法人口座を開設する目安|
海外FXで法人化するタイミングは、継続的に2000万円以上の利益が出せるようになってからがおすすめです。
実際に勢いで法人化してから後悔するポイントとしては以下が挙げられます。
実際に1000万以上利益が出ていたとしても、安易に法人化はしない方が賢明です。まずは、個人事業主として税金を抑える方法を実践しましょう。
まずは上記を実践して、それでも税金が高い場合は、法人化へのステップを検討していいかもしれません。
法人口座を開設できる3つのおすすめ海外FX業者
法人口座を開設できるおすすめ海外FX業者は以下の3つです。
なお、XMTradingでは法人口座を開設することはできません。
海外FX法人口座の開設方法|必要書類が増えるので注意
海外FXの法人口座の開設する手順は以下の通りです。
法人を設立する
まずは法人を設立しないと、法人口座は開設できません。まずは、法人設立の手続きをします。
法人を設立するなら社会的信用が高い株式会社がおすすめです。ただし、法人化の手続きに25万円から50万円ちかく初期費用がかかります。
法人口座を開設する
法人口座の開設は、個人口座と同じです。海外FX業者の公式サイトから、法人口座を選択して手続きをすれば開設できますが、法人口座の場合は以下の書類も追加で提出する必要があります。
なお、各書類には有効期限があります。登記簿謄本・現住所証明書は発行から3ヶ月以内でないと受理されないので注意しましょう。
海外FXの法人化についてよくある質問
海外FXで法人化するデメリットはありますか?
海外FXで口座を法人化するデメリットは以下の5つが挙げられます。
海外FXの法人口座(法人化)に必要な資本金はいくらからですか?
1円からOKです。
ただし、少ないと審査に落ちる可能性もあるので、100万円~1,000万円で見ておくとよいでしょう。
海外FXはいくらから税金が発生しますか?
利益が20万円以下なら納税の必要はありません。
しかしそれ以上だと確定申告が必要です。
アキシオリーで法人口座を開設できますか?
Axiory(アキシオリー)は法人口座を作れます。
FXGTで法人口座を開設できますか?
FXGTは法人口座を作れます。
Exnessで法人口座を開設できますか?
Exnessは法人口座を作れます。
しかし、条件が3つあり、そのうちのひとつである「10万ドルの累計入金額と四半期毎に2億ドルのトレード」が最も達成しづらく、個人トレーダーでExnessで法人口座を開設するのは困難と言えるでしょう。
海外FXで法人化はいくら必要?
海外FXの法人化には10~50万円の初期費用がかかります。
他にも、税理士への依頼や法人の維持費で年間数十万円かかるので、事前に把握しておくと後悔せずに済みます。税理士に依頼して、事前シミュレーションしてもらいましょう。
海外FXで確定申告しないとどうなる?
海外FXで確定申告しないと、追加徴税として追加で多く税金を支払うことになります。
FXは国内と海外どっちがいい?
海外FXと国内FXはそれぞれにメリット・デメリットがあり、目的に合わせてどっちがいいか考える必要があります。
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