海外FXで得た利益に関しては経費にすることはできませんが、海外FXで経費にできる可能性があるものは数多くあります。
そこで、今回は海外FXで経費にできる16項目や経費に関する注意点、経費を計算する前に知っておくべきポイントなどについて紹介していきます。
海外FXの経費についての結論としては、FXで経費計上できるものは多く、16項目ある。海外FXの経費として計上するときは基本的に自己判断となるので、極端な経費計上は税務調査が入るため、判断しかねるときは税理士に相談した方がよい。
海外FXの経費を計算する前に知っておきたいポイント
海外FXの経費を計算する前に知っておきたい3つのポイントを紹介していきます。
経費はあくまでも自己判断
経費を最終的にどこまで認めるかどうかを決めるのは税務署になりますが、明確な法律などはありません。
そのため、どこまで経費として申告するのかは自己判断になります。
経費になるかどうかは基本的にFXに関係しているのか、FXトレードで必要なものかどうかで判断します。
また、自分が経費にしたい費用や経費だと思う費用は、税務署に経費として認めてもらうためにも、証明となる領収書を必ず残すようにしましょう。

判断しかねる場合は、税理士に相談するのが賢明ですね。
極端な経費は税務調査が入る
自分が経費だと思っても、必ず経費として認められるわけではありません。
大切なのはFXトレードでその経費が必要だったかどうかです。
例えば、FXトレードをするの情報収集として、新聞や雑誌、参考本などを購入する場合、その購入代金は経費として計上できます。
ただし、FXとは関係ない書籍を経費として計上してしまうと、問題が発生してしまいます。
極端になんでも経費として計上して税務署に疑われてしまうと、税務調査が行われる可能性があります。

税務調査には任意調査と強制調査がありますが、基本的には必ず調査が行われると心しておきましょう。
経費は海外FXに使う割合で計上できる
経費は海外FXに使う割合で計上することができます。
例えば、海外FXのトレードをするためにパソコンを購入した場合、普段の生活でもパソコンを使用しているとFXトレードで使用している割合はどのくらいかを自分で計算しなければいけません。
また、家賃に関しても自宅の1部屋をFXトレードで使っている場合、家賃全てではなく全体の割合で計算します。
一般的には5割程度とされていますが、部屋の広さや間取り、税務署の判断によっても異なるため注意が必要です。
さらに、スマホでFXトレードをしている場合でも、日常でスマホを使う機会も多いため全てのスマホ代を経費にすることは難しいでしょう。
海外FXで経費にできる16項目
ここでは、FXで経費にできる可能性があるものを紹介していきます。
トレード手数料
海外FXトレードにかかったトレード手数料は経費として全額計上できます。
海外FXは基本的に無料でトレードができるFX会社が多いですが、中にはトレード手数料がかかる場合があります。
また、自動売買でかかったトレード手数料でも全額経費として計上可能です。
ただし、スプレッドは売買したレートに反映されるものですので、経費としては認められないため注意してください。

このトレード手数料はスプレッドとは異なりますので注意しましょう。
PCやスマホ・タブレットの本体代
PCやスマホ・タブレットの本体代も経費として計上できます。
FX専用の端末として使用する場合は全額経費にできます。
FX以外で兼用する場合でも、使用時間などの割合を計算して一部の本体代を経費として計上することが可能です。
PCやスマホ・タブレットは何台でも経費にすることができます。
実際にFXトレードを本格的にしている人の中には、3台以上のモニターを活用してトレードしている人も多いですが、FXに直接関係しているのであれば、3台分のPCを経費として計上することもできます。
PCやスマホ・タブレットの月額料金(要割合計算)
PCやスマホ・タブレットの月額料金も経費として計上できます。
スマホやタブレットなどは本体代金とは別に月額料金がかかります。
この月額料金も経費として計上可能で、FX専用の機器の場合は全額計上可能です。
ただし、スマホはプライベートと併用して使用していることも多く、その場合はFXトレードにかける時間や割合などで計算します。
パソコンの周辺機器(要割合計算)
パソコン周りの機器も経費として計上可能です。
例えば、FXトレードのデータを記録するためのUSBやパソコンの充電器、マウス、キーボード、マウスパッドなど、FXのトレードで使う機器は全て経費として計上できます。
他にも、キーボードやマウスなどのBluetoothを繋ぐための機器や有線ケーブルなども計上可能です。
ただし、プライベートで使用しているものは経費として計上できませんので、注意が必要です。
ネットなどの通信費(要割合計算)
インターネットなどの通信費も経費として計上可能です。
ネット回線やWi-Fiなどの通信費など、FXトレードだけで使う場合は全額、プライベートでも使用する場合は使用時間などを考慮して計算します。
トレードソフトの購入代金
トレードソフトの購入代金も経費として計上可能です。
FXトレードで利益を得るために相場分析や自動売買ツールなど、トレードに使うツールやソフトであれば全て経費として計上できます。
ただし、経費として計上できるからといって無駄な計算ソフトや有料のソフトを購入しても、実際は使わないケースもあるため、経費にできるという理由だけで安易に購入しないようにしましょう。
交際費
交際費もFXの経費として計上可能です。
FXに関する情報収集のためにカフェや喫茶店などを利用した場合、その費用も交際費として経費計上できます。
ただし、会食などの場合は直接の関係性を証明、判断することが難しいため、経費計上は難しくなるでしょう。
レンタルサーバー利用料
レンタルサーバーを利用している場合も経費として計上できます。
MT4で自動売買をする場合プログラムを動かすためにVPSというサーバーが必要になります。
このサーバーは月単位や年単位でのさまざまな契約期間がありますが、全て経費として計上可能です。
本や新聞・電子書籍
FXトレードのために必要な情報を得るには本や新聞・電子書籍は欠かせません。
従って、直接的にFXに関係のある内容の書籍代は必要経費として認められます。
ただし、FXに関係のないマンガ本やスポーツ新聞、芸能などは経費になりませんので、注意してください。
電子書籍など、レシートが発行されない場合は支払い年月日がわかる画面のスクショをして保存しておいてください。
会議費
FXトレードをするために会議や打ち合わせなどをする場合、その費用を会議費として経費計上が可能です。
例えば、情報収集のためにトレード先の社員とカフェや喫茶店、コワーキングスペースなどを利用した場合の費用は会議費として経費計上ができます。
セミナー参加費・交通費・宿泊費(20-30%)
FXトレードのためのセミナー参加費や交通費、宿泊費なども経費として計上できます。
例えば、セミナー参加のために電車で都内に移動し、宿泊した場合は電車代とホテル代が経費として計上できます。
ただし、全額ではなく20%~30%程度を経費にすることが多いようです。
筆記用具
FXトレードに必要な筆記用具なども必要経費として計上可能です。
FXトレードのデータや分析のために筆記用具やメモ帳などを購入する場合、全てFXに関係するものですので、経費計上できます。
また、プリンターのインク代やコピー用紙なども経費として認められます。
筆記用具は一つ数百円程度と金額が小さく、ついついレシートを捨ててしまいがちですが、1年で見ると金額が大きくなる場合がありますので、しっかり保管しておきましょう。
机や棚などの備品
FXトレードをするための机や棚などの備品も経費として計上できます。
ただし、プライベートでも使用する場合は使用割合で計算する必要があります。
パソコンやモニターを設置する時には必ず机や棚が必要になりますので、しっかりレシートを保管しておくようにしてください。
家賃・固定資産税(要割合計算)
毎月支払っている家賃や、持ち家の場合でも年に4回支払う固定資産税を経費として計上できます。
FXトレードで使用している部屋の割合や時間などで計算し、FX専用で使う事務所の家賃などは全て経費にできます。
さらに、FXトレードをするためにコワーキングスペースやカフェを利用した場合、その費用も経費として計上することが可能です。
光熱費(要割合計算)
FXトレードにかかった光熱費も経費計上できます。
例えば、PCを使用する時の電気代などは割合計算で経費計上可能です。
ただし、生活費と混ざっている場合はFXにかかった費用だけを算出することは難しいため、使用時間や使用回数などをもとに、計算するようにしてください。
税理士への相談料・確定申告書の作成料
FXで得た利益は課税対象になり、確定申告をする必要があります。
個人で確定申告を行う場合は問題ありませんが、税理士への相談や確定申告書の作成を依頼する場合、費用が発生します。
この時の費用は全て経費として計上可能です。
税理士との相談のために電話をした場合も、その電話代が経費として計上できます。
海外FXの経費に関する3つの注意点
続いて、FXの経費に関する注意点について紹介していきます。
経費は翌年に持ち越せない
海外FXに限ったことではありませんが、経費を翌年に持ち越すことはできません。
そのため、年内に発生した費用はその年の経費計上にしかできず、翌年に経費計上することはできません。
所得税の計算は1月1日~12月31日と区分されていますので、前年度の経費を今年の経費計上として算出しないようしてください。
領収書があっても記載事項がなければ経費にできない
経費として計上する場合、領収書が必要になりますが、領収書の記載事項を確認することも重要なポイントです。
領収書には次の記載項目がなければ経費計上が難しくなる場合があります。
- 宛名
- 日付
- 金額
- 但し書き
基本的にはどのレシートにも領収書にも記載がありますが、支払先のミスで記載事項の欄が空欄になっている場合は経費として認められないケースもあります。
但し書きは空欄でも問題ありませんが、できるだけ具体的な内容を書いてもらうようにしてください。
資料の保管期限は最低でも5年間
経費計上した費用の領収書は白色申告の場合は5年、青色申告の場合は7年間保管が義務付けられています。
また、領収書などの書類は税務署に届出を行った後に電子データとして保管する形でも問題ありません。
海外FXで経費計上するメリット
ここでは、FXで経費計上をするメリットを紹介していきます。
確定申告が不要になる場合もある
経費計上をすれば、確定申告が不要になるケースもあります。
雑所得が少なくなると、確定申告の義務が発生しないケースがあるからです。
FX以外にも会社の収入状況によって確定申告の義務が定められています。
会社員 | 先物トレードに係る雑所得等が20万円を超えたら確定申告が必要 |
---|---|
被扶養者 | 合計所得金額=先物トレードに係る雑所得等→48万円を超えたら確定申告が必要 |
パート・アルバイト | ①=給与所得=給与収入-55万円(給与所得控除)②=①+先物トレードに係る雑所得等→②が48万円を超えたら確定申告が必要 |
個人事業主・フリーランス | ①=事業所得=事業収入-必要経費②=①+先物トレードに係る雑所得等→②が48万円を超えたら確定申告が必要 |
支払う税金を安くできる
経費計上すると、支払う税金を安くできるというメリットがあります。
経費計上すれば、先物トレードに係る雑所得が小さくなり、課税対象の所得が減ります。
所得が少なくなれば所得在や住民材などの負担が軽減されますので、節税対策のためにも経費計上はしたほうが良いです。
【所得税の速算表】
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
FXで経費を計上するときの5原則
FXで経費計上するときの原則を紹介していきます。
スプレッドは経費にならない
FXトレードにおけるスプレッドは経費計上できません。
このスプレッドを経費計上してしまうと二重計上になってしまうため、注意が必要です。勘違いされる方も多いので注意しておきましょう。
10万円以上のものは分割で経費にできる
経費は基本的にお金を支払った年に経費計上するのが原則ですが、10万円以上のものは分割して経費にすることができます。
仮に、10万円以上、20万円以下のPCを購入した場合、3年間で均等額を経費にすることができ、購入した月は無視して経費にすることができます。
20万円以上のPCを購入した場合は4年間にわたって月割りで経費にすることも可能です。
例えば、2022年に15万円のPCを購入した場合、2022年と2023年、2024年に5万円ずつ経費にすることができます。
2022年に40万円のPCを購入した場合は2022年に5万円、2023年に10万円、2024年に5万円、2025年に10万円分の経費計上ができます。
FXトレードをするために購入するPCは特に10万円以上する場合が多いため、分割して経費計上するのがおすすめです。
領収書は必ず保管
経費計上する時は領収書を必ず保管する必要があります。
領収書などの証拠書類がない場合は経費の内容や支払いが行われた証明ができません。
領収書やレシート、クレジットカードの引き落とし明細などはしっかり保管してください。
尚、電子マネーの決済やSuicaのチャージなど、領収書が出ないものはスクショやメモで残しておいてください。
その際は、次のような記載項目が必要です。
- 宛名
- 日付
- 金額
- 但し書き
経費計上に上限はない
経費に上限はありません。
そのため、100万円でも200万円でも経費計上が可能です。
ただし、あまりにも高額な経費を計上してしまうと、税務署から不信に思われてしまい、税務調査が行われると重課税が課せられることもあるため不正な経費計上は避けましょう。
海外FXの経費まとめ:困ったら税理士に相談しよう
経費計上は自分で金額を決めることができますが、あまりにも多額の経費計上をしてしまうと不正が行われてしまうこともあります。
そのため、少しでも困ったら税理士に相談するのがおすすめです。
費用はかかってしまうものの、かかった費用は経費として計上することができますし、不正が疑われる心配もありません。
税金に関する知識は素人では100%理解できる内容ではないため、プロの専門家に相談・依頼するのも一つの方法です。
経費にできるかどうか悩んだ時の相談先
経費にできるか悩んだ時は、次の相談先に相談してください。なお、税務署に直接相談することは避けましょう。税務署の方に、目をつけられるのがオチです。
国税局電話相談センター
国税局電話相談センターは全国各ブロックに設置された国税局のコールセンターです。
平日8時30分~17時で受け付けており、相談料は無料です。
国税局が運営しているということもあり、ネットの情報よりも信頼性が高い回答が得られます。
管轄の税務署は下記のリンクから簡単に調べることができますので、参考にしてみてください。
税理士
税理士に相談するのも一つの方法です。
税理士は経費に関する相談だけでなく確定申告の作成手続きを自分の代わりに代行してくれる税金の専門家です。
東京都の場合は確定申告の作成手続きを依頼する場合は70,000円~80,000円が相場になります。
相談だけであれば無料で受け付けているケースもありますので、気軽に問い合わせてみてください。
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